あなたのオフィスや店舗には、次の写真のような"床の汚れ"がありませんか?
これは「ヒールマーク」といわれる汚れで、床についた靴などの擦り跡です。
ヒールマークは日常の簡単な清掃では落としにくいため、毎日清掃していてもいつの間にか汚れが蓄積されてしまっています。
そんなヒールマークですが、予防はできないものでしょうか?もしくは、ついてしまったヒールマークを簡単に落とせないのでしょうか?
たくさんのヒールマークに対応してきた私たち清掃会社が、ヒールマークの予防と落とし方について解説します。
スーパーマーケットの床やオフィスビルのエントランスの床などに黒い線上の汚れがついていることがありますよね。それがヒールマークです。
靴底のゴムが床との摩擦により削り取られ、床材表面に付着することで生じます。特にビジネスシューズ・ハイヒール・ブーツのように靴底が硬めの靴はヒールマークがつきやすいです。靴を履いたまま人が往来するオフィスビルや店舗の床などでよく見られる汚れなのですが、通常のモップ掛け程度では落ちにくいため、汚れが放置されて外観を損ねる原因となりがちです。
また台車のゴムタイヤでも同様につくことがあります。例えば、方向転換の時にゴムタイヤが引きずられたり、荷物が重過ぎてゴムタイヤがうまく回転しないまま進んだ時に生じやすいです。スーパーマーケットなどの店舗では、台車のほかお客様が利用されるショッピングカートもヒールマークの原因となることがあります。
ヒールマークを防ぐ方法はあるのでしょうか。一番の方法は靴を履かないことです。素足やスリッパなら床にヒールマークがつくことはありません。社員だけが出入りする事務所内であれば土足厳禁にすることも可能でしょう。でも、社外のお客様も出入りする環境だと難しいですね。
それでは、他にどうすればヒールマークがつきにくくなるか見ていきましょう。
玄関ドア付近はたくさんの人が出入りするため特にヒールマークがつきやすい場所です。そうした場所だけでもマットを敷いておくと、ヒールマークの数はかなり減らすことができます。
厳密に言うと、ワックスを塗布することはヒールマークの予防ではありません。ワックスの上にヒールマークがついてしまうからです。しかしワックスを塗布しておくことで本来の床を守ることができます。ワックスの上についたヒールマークであれば、ワックスを剥離すれば取り除くことができます。ワックスで床をカバーしておくことで床にヒールマークがつくことを防ぐことができるのです。
先ほども書きましたが、土足禁止にすればヒールマークは防ぐことができます。部屋に入るときにスリッパに履き替えれば良いのです。スリッパでなくても、スニーカーのような柔らかい靴底のものでもヒールマークは軽減できます。また、軽量な靴・サイズが合っていて足にフィットした靴を選べば歩くときに靴を引きずることが減るため、ヒールマークの予防に繋がります。
会社の事務所などは、ハイヒールやビジネスシューズのようなヒールマークのつきやすい靴を履かれたお客様が来られることも多いですよね。予防策として、お客様にもスリッパに履き替えていただいている会社もあります。
歩くときに足を引きずらないように意識することもヒールマークの予防に繋がります。④で書いたように足にフィットした靴を選ぶと引きずりにくくなります。
台車もタイヤを引きずらないようにすればヒールマークを予防できます。方向転換の時はタイヤを少し持ち上げて回転させる、床にタイヤを押し付けないように意識しながら押すなど、少し意識するだけでヒールマークを減らすことができますよ。
塩化ビニル系の床材は特にヒールマークがつきやすいです。カーペット敷きの床ならヒールマークはつきませんが、靴裏の汚れがカーペットに付着することは避けられません。石タイルやコンクリートのような硬質な床材であればヒールマークはつきにくいので、床材を変えることが可能であればそうした物を選べば良いでしょう。しかし、床材を変えるのは費用も作業も大変ですね。簡単にできることではありません。
このように、ヒールマークを予防する方法はいくつかあります。しかし、床材を変えるのは費用も作業も大変です。また、事務所内などは土足厳禁にすることが可能であったとしても、お客様の出入りするエントランスや通路、店舗などではなかなかそうもいきません。つまりヒールマークを完全に予防することは難しいのが現状です。
それではついてしまったヒールマークはどうすれば良いのでしょう?
ヒールマークを落とすこと自体は実はそんなに難しいことではなく、誰でもできる作業です。汚れがこびりついて落としにくくなってしまう前に、なるべく早目に拭き取るというのが原則です。本当はその都度拭き取ることができれば一番良いのですが、会社や店舗などであれば、本来の業務で忙しくてなかなかそういうわけにもいきませんよね。あまり放置しすぎると汚れもこびりついてしまいますし、汚れの範囲も広くなり作業が困難になってしまいます。できるだけ早目に掃除をするということが前提ですが、作業が困難になってしまったヒールマークは清掃会社に床洗浄を依頼するのも1つの方法です。
ヒールマークの落とし方は汚れの程度によって異なります。
※水分や洗剤に弱い床材もあります。床の材質とお手入れ方法について確認してから実施してください。
①モップや雑巾で水拭きする
②水でぬらしてブラシでこする
③中性洗剤を使う
④清掃業者に相談をする
①モップや雑巾で水拭きする
薄い汚れであれば水拭きで拭き取れる場合もあります。簡単な作業ですし、床にかける負担も少ないのでそれで済めば一番良いですね。
②水でぬらしてブラシでこする
それで落ちなければブラシを使ってこすってみましょう。強くこすりすぎると床を傷める危険があるので、様子を見ながら行ってください。
③中性洗剤を使う
それでも落ちなければ中性洗剤をつけてこすります。その際、洗剤は床を傷める危険があるため、初めに目立たないところで試してください。
④清掃業者に相談をする
どうしても取れない場合は、ワックスの下に汚れが入り込んでいる可能性もあるので、清掃会社に相談しましょう。
ワックスの塗ってある床を自分で掃除する時には、特に注意するべきことがいくつかあります。
①洗剤によってワックスを溶かしてしまったり変色してしまったりすることがあります。まずは目立たないところで試してみてください。その上で洗剤を使用する時には、床に直接撒くのではなく雑巾やブラシに洗剤をつけてこするようにしましょう。その後水拭きをして乾拭きで仕上げます。洗剤が残らないようにするためです。
また、広範囲を一度に掃除しようとすると、洗剤がついたままになっている時間が長くなってしまいます。1ヶ所ずつ仕上げていくようにしてください。
②固いブラシで力を入れてこすりすぎるとワックスに傷がついてしまったりその部分だけ削り取られてしまう可能性があります。少し強めにこすっても落ちない汚れは清掃会社に相談することをオススメします。
③ヒールマークがついたまま上からワックスを塗ってしまうと、汚れをワックスで覆ってしまうことになり落とせなくなります。ワックスを塗る前には汚れを落としておくのが鉄則です。清掃会社に依頼すると、ワックス掛けの前に古いワックスを剥離したり、床をポリッシャーで磨いたりといったこともまとめて任せられます。
ヒールマークはある程度の予防はできますが、完全に防ぐことは困難です。ついてしまったヒールマークはなるべく早めに対処して、床をきれいに保ちたいですね。汚れが広範囲に及ぶなどご自身での掃除が困難な場合は、清掃会社に依頼してみても良いでしょう。年に数回の定期清掃を利用すれば、床をきれいに保つことができますよ。
関連情報・コラム |
ちゃんとオフィス清掃しているのに。気になってくる床の黒ずみの正体とは
ホワイトボードの汚れが落ちない!!その原因と予防と清掃方法
日常清掃と定期清掃を併用したら、お悩み解決できるかも!【日常清掃のハテナ】